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執筆者の写真keiichibaba 馬場敬一

「MA→ZI本気展」を終えて

HIDEHARU FUKASAKU ART MUSEUM YOKOHAMAが企画、開催した「MA→ZI本気展」が終了致しました。


今から丁度2年前、こちらのギャラリーのキュレーションをされている高宮洋子さんから、本展への参加依頼のメールを頂きました。内容は至極シンプルで、展覧会タイトルと参加作家が記されたものでした。すぐに他の参加作家をネット検索すると、おふた方共人物に向き合う実力派。他者をモデルにしていても、強く自身を投影している印象を受けました。なるほど、「MA→ZI本気展」という強烈なタイトルに込められた意味がなんとなく理解出来た様に思いました。

選出して頂けた嬉しさと同時に、他のお二方の作品のレベルの高さと、「MA→ZI本気展」というタイトルを冠した高宮さんの本気度に少々ビビりもしました。


当時の僕はまだゆっくり立ち上がり始めたばかり。3カ月の休養期間を経て、鬱を克服する為に制作を再開していましたが、今回展示した「RESIN 死と再生」シリーズは、やっと小品1点を仕上げた時でした。

鬱の日々は、自分の存在をこの世から消し去って楽になりたいと願ってばかり。自信なんてものはひとかけらも残っていない。自己肯定感が完全に消え去った当時の僕にとって、この展覧会への参加要請は大事件でした。


高宮さんは、多摩美や芸大で講師をされてきた木彫や漆の修復を専門にされる、文化財修復のスペシャリスト。この方に選出して頂けた事が本当に嬉しかったのです。ギャラリストやキュレーターの多くは作品が売れるか売れないかで作家を取り扱うか否かを判断します。それを図るのが販売実績や知名度なので、まずそこを見ます。作品の良し悪しを本質的に深く理解出来ているかは疑問です。というのは、美術の良し悪しを本質的に高い次元で判別する能力を持つのは、高い次元で創れる人だと考えるからです。僕は音楽を好き嫌いでしか判断出来ませんが、美術に関しては技術、思想、アイデア、ステートメントなど、あらゆる側面から良し悪しを判断出来ます。この能力は年々上がっていますが、観る経験を積んでいるからではなく、創る経験を積んでいるからです。だから、徹底的に創る事が出来る高宮さんに選出して頂いた事がとても嬉しかったのです。この事が励みになって、良いプレッシャーになって、この2年間作品を作り続ける事が出来ました。創る事で自信を回復させて鬱を乗り越えた2年間だったので、その最初に大きなきっかけと応援を頂いた事をとてもありがたく思っています。


HIDEHARU FUKASAKU ART MUSEUM YOKOHAMAは展示スペース160平米、天井高3.7メートルの大型ギャラリーです。3人展とはいえ、作品数もサイズも必要です。小さい作品ばかりでは空間に飲み込まれてしまいます。お声掛けを頂いた2年前から、この展覧会を目標に日々制作を積み重ね、徐々に作品をサイズアップしてきました。2年間ひたすらに作り続けた作品を展示してみると、大空間の中で「たったこれだけか。。」と感じましたが、作品自体の充実度は27年間の作家活動の中で明らかに以前とは違う手応えを感じる事が出来ました。


どん底からの2年間、僕がもがき続けた軌跡を最高の空間で発表出来て、とても清々しい気持ちで展覧会を終える事が出来ました。

めちゃくちゃ辛いところから、めちゃくちゃ頑張って這い上がった2年間でした。


「MA→ZI本気展」


この激アツなタイトルに相応しい展示が出来たと自負しております!!


ご来廊くださった皆様、来れなかったけど気に掛けてくださった皆様、最高すぎるギャラリースタッフの皆様、立ち上がるきっかけを与えてくれた高宮さん、本当にありがとうございました!!

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